皆様こんにちは。
本日は、
「秘密基地」などという意味深なタイトルで始まりましたが、
とある工房へと行って参りましたのでご紹介させて頂きます。
当店のある埼玉県越谷市から、車で片道2時間という
まあまあ距離のある場所にその「秘密基地」はあります。
その「秘密基地」での作業内容は、
一般的なリペアから、オーダーギターの製作、塗装、レリックなどの特殊加工です。
中でも、ワタクシが気になっているのは、
「塗装」そして「レリック」です。
今回はとりあえず、
視察という形でお邪魔させて頂きました。
ワタクシ、ゴールドトップが非常に好きでして、
ゴールドの色味には非常にコダワリを持っております。
そこで今回、ご厚意で試しにゴールド塗装をテストピースにして頂きました。
こちらの工房では、いわゆる「金色」の塗装ではなく、
ブラスの粉を使用した
ビンテージギターと同じ塗装方法を採用しております。
つまり、現代のゴールド塗装のほとんどは、シルバーの上に黄色の透明を乗せたり、
シルバーの粉に黄色を混ぜて金に見せたりします。
ビンテージギターのゴールドは、
ブラスの金属粉そのものの色なんです。
そして、
この塗装方法を採用している工房はほとんどありません。
と聞くと気になってきますよね?ワタクシだけですかね?
もうワタクシは気になって気になって、仕事も手に付かず、
長距離ももろともせずに、気が付いた時には仕事を放り投げて車を飛ばしていました(笑)
では、ご覧になって頂きましょう。
これが、ブラスの粉です。
でも、このブラス粉も複数有り、
実際には数種類のブラス粉を混ぜて、
より当時の”あの色”に合わせていきます。
ちょっとの風で舞い上がるほど細かな粒子です。
くしゃみ注意!!
今回はマホガニーの木片でテストします。
マホガニーに「との粉」という導管を埋めるものを塗ります。
今回はあくまでテストなので、ほどほどで次の工程へ。。
そして、ある程度導管が埋まったら、
シーラーという下地を塗ります。
この時点で木の色が濡れた様に濃く変化していますね。
シースルーカラーなどにしたい場合は、
この変化がかなり影響しますので、注意が必要です。
乾かしている間にゴールドの元となる
ブラス粉を調合して目標となるカラーを作り上げます。
コップの中の塗料の色と、実際に塗った時の色は
かなりの違いがあります。
この写真でもコップの中はかなり濃い茶色に見えますよね。
この辺は塗りあがりを予測する職人さんの「経験」と「勘」が頼りです。
出来上がった塗料を塗装ガンで吹き付けていきます。
ゴールドになりましたね。
これぞ、ブラス粉による色味です。
マホガニーなので、導管のポツポツが出てしまっていますが、
との粉による目止めをもう少し繰り返すか、
トップにメイプル材の様な導管の出にくい材を使えば
問題なく平滑に仕上がります。
この後、クリアーを塗って完成になります。
仕上げによっては(レリックなど)透明クリアーではなく、
飴色クリアーを塗る場合もあります。
レリック加工のサンプルです。
ブラス粉を使用した塗装は長年の使用により、
ブラス粉自体が錆びてきて、緑色の緑青が生まれます。
そんな微細な部分まで再現しています。
現代の塗装なので、いわゆる「金色」カラーです。
手前のレスポールがブラス粉で塗られ、20年程経ったもの。
その上に乗せてあるサンプルがブラス粉塗装にレリック加工したものと、
本日試しに作ったテストピースでノンレリックのものです。
一言で「金」と言っても幅がありますね。
その他のゴールド以外のカラーなども見せて頂きましたが、
どれもこれも他には無いリアリティと説得力がありました。
この様なレポートにしてしまうと、
簡単に思えてしまうかもしれませんが、
この技術を確立し、たどり着くまでに
そうとうなトライ&エラーがあったに違いありません。
確かに、レリックや、ビンテージ塗装はあくまで偽物とも言えるかとは
思いますが、本物のビンテージギターに多く触れ、
向き合い、ひたむきな研究心がなければ成し得ることが出来ないと思います。
ワタクシはそれをただの偽物とは言えません。
ビンテージと呼ばれる楽器は限られた数しか無く、
今後増える事もありません。
値段もどんどん上がります。
きっとこれからも一部の方々しか手に取ることはできないでしょう。
そんな遠い存在になりつつあるビンテージギターを多くの人に。。
そんな信念を職人さんから感じました。
そんな職人さんの想いと、お客様の想い、
その点と点を繋ぐべくワタクシは奔走しております。
現在、お取引をして頂くべく調整中です。
今回の記事で気になってしまったお客様、
もうしばらくお待ち下さいませ。
~お問い合わせ~
MACS大野楽器・南越谷店
埼玉県越谷市南越谷1-16-10
048-986-8686