2016年3月28日月曜日

完成!



皆様こんにちは。
本日はスペシャルな1本が完成致しましたので、ご紹介させて頂きます。

その1本とは、当ブログでも段階を追ってご紹介してきたベースです。


ザグリ~塗装剥離http://macs-ohno.blogspot.jp/2016/02/blog-post.html
塗装編http://macs-ohno.blogspot.jp/2016/02/blog-post_11.html


大まかなコンセプトとしては、
FenderJapan OPB (Original Precision Bass)通称テレベに
Gibson Thunderbirdのピックアップを搭載し、
その他パーツ類もGibsonのパーツを使い、
Fender×Gibson的なモデルを造るというモノです。

以前ギターでも「ストラトポール」というFender×Gibsonコンセプトの
オリジナルモデルを作りましたが、そのベース版といったところです。


早速御覧頂きましょう!


Original Precision Bass
いきなりですが、全体像です。
意外と違和感なく、仕上がっていますね。
レリック加工もしてあります。



Fender OPB
このモデルの肝となるピックアップ部。
60年代のGibson Thunderbirdに使用されていた
メッキカバータイプの復刻モデルです。

現行のGibson Thunderbirdでは、黒い樹脂カバー
のタイプで、当然サウンドの傾向が全く違います。

ピックアップ周りのマウントリングもビンテージタイプを
コダワリのマイナスネジで固定しております。

4弦側の角に搭載された
Gibson LesPaul用トグルスイッチで、
フロント・ミックス・リアの切り替えが出来ます。


Fender OPB
コントロールはシンプルに、
1ボリューム1トーンです。

ノブがこれまたGibson LesPaul用になっていますね。
しかもよく見ると、ノブのゴールドのフチが緑青(サビ)
で緑に変色している所まで再現してあります。

そしてこのコントロールパネルもレリック加工され、
ここもコダワリのマイナスネジで留まっています。


Fender OPB
ジャックプレートはGibson LesPaul用を採用。



Fender OPB
フィンガーレストは、ワンオフで製作。
木材を削り出し、ブラックで塗装仕上げです。



ブラスパウダー レリック クラック
ブラスパウダーを使用してのGold Top。
クラックもビッシリ入り、
本物の緑青を用いビンテージと見間違える程のレリック加工。



指板 レリック
指板もしっかりとレリック加工がされています。
この塗装剥がれの表現はかなり難しく、
巷ではわざとらしくなってしまっているモノも多く見られます。
そんな部分も文句なしに良い出来です。



ネック裏 レリック加工
ネック裏もこの通り。
かなり自然なビンテージルックになっております。
握り心地なかなか良い手触りで手に馴染みます。




肝心のサウンドですが、これが想像以上にバランスが良いです。

フロントピックアップのみで音を出すと、プレベに近いですが、
プレベ特有のミドルがブーミー過ぎる癖は抑えられていて、
アンプのツマミをフラットにしていてもそのまま使える音です。
ミックスポジションでは、少しジャズベ寄りになりますが、
ジャズベより芯のあるこれまたアンプフラットでそのまま使える
バランスの良い音です。スラップでも問題ありませんでした。
リアポジションでは、プリッとしたサウンドが前面に出てきて、
少し抽象的な表現ですが、海外のハイエンドブランドのサウンド
とも言える様なイメージでした。

と、ルックスではやや不器用感のあるサウンドを想像してしまいますが、
むしろかなり幅の広い使い勝手の抜群なサウンドにまとまりました。




とここまで書いておきながら、この個体はお客様のオーダーなので、
既に売約済みなんです。


でも、現在、このモデルを元に「大野楽器オリジナルベース」として
量産をするべく準備中なので、気になった方はお問い合わせ下さい。





~お問い合わせ~
MACS大野楽器・南越谷店
埼玉県越谷市南越谷1-16-10
048-986-8686







2016年3月12日土曜日

オリジナルピックガード製作



皆様こんにちは。
本日は弊社提携工房でのピックガード製作の模様をお伝えしようと思います。

どんな風に作っているのか意外と解らないですよね?

今回は、元々ピックガードの付いていないベースに、
アクリル素材、厚み3mmというオーダーでした。



それでは始めましょう!


まずは、お客様と打ち合わせの上、
形状を決めます。
その形状を仮の材で作り、型とします。

ネジ穴などの位置もこの時点でしっかり決めます。



本番のアクリル材にキズ防止のマスキングテープ
を張り込み、そこへ先程の型を載せ、
マジックでなぞり、カットラインを書きます。
これはあくまで目安の線です。

カットラインが書かれたアクリル材に鋸を入れる
為のきっかけとなる穴を開けている写真です。

アクリルはあまり粘りが無く、簡単にひび割れるので
慎重に作業します。


鋸でカットしていきます。
あくまでラフカットなので、
書いてある線よりも少し外側で切ります。


ラフカットを終えたら、最初に作ってあった型と
重ね合わせて穴を空けていきます。
その穴を利用し、ボルトで型と本番用のアクリル材を
重ねて固定します。



ラフカットした材は、型より少しはみ出ているので、
そのはみ出ている部分をルーターでそぎ落としていきます。

ルーターとは、型の部分にコロ(切れない部分)を当て、
アクリル材部分のみに刃を当てて、型と同じ形状に
出来る工具です。
使い方次第で、様々な加工が出来、
木材に段つき加工(バインディングを貼る為のの溝)や、
ピックアップなどのキャビティーを掘る事や、
ボディーのエッジを丸めたりとかなり使える工具です。

もちろんギター製作用という訳では無く、
木工などに携わる職人さんなら殆どの方が
使ったことがあるのではないでしょうか。


お次はピックガードのフチを斜めに落としていきます。
ルーターの刃を付け替え、写真の様に
傘の様に開いた刃にします。

ちなみに先程の工程ではこの刃が筒状のものを
使っていました。

この刃の出し具合を調整するのもまた経験と勘です。



写真では解り辛いかもしれませんが、
直角だった断面がどんどん斜めになっていきます。

そして凄まじいカスが舞散り、雪の様でした。。


やはり手加工は大事です。
機械ではどうしても出来てしまう切削痕を
滑らかに仕上げていきます。
結局は手でやすりなんです。


ある程度切削痕も消えたら、より滑らかに、
そしてエッジの光沢を求めてバフを当てます。

バフというのは、柔らかい布の様なモノが、
写真の様に高速で回転し、磨き上げてくれる機械です。

摩擦でピックガード素材を痛めない様に
当て方をコントロールします。
やはり技術が必要な作業です。


磨きを終え、ボディに取り付けました。
この透明感、エッジのツルッと感、
滑らかな曲線。素晴らしい出来です。


お客様もご満足頂けた様でした。



弊社提携工房ではこの様な加工もやっております。
オリジナル形状のピックガードを作りたい、
純正カラーとは違う色のピックガードにしたい、
などなど、ご相談下さい。

素材、厚みに関しても、出来る限りご用意いたします。

ちなみに、ビンテージストラトマニアには堪らない
セルロイドの白黒白3Pの素材もありますよ。。




~お問い合わせ~
MACS大野楽器・南越谷店
埼玉県越谷市南越谷1-16-10
048-986-8686





2016年3月7日月曜日

細部へのこだわり。




皆様こんにちは。

前回の記事「ミニハムバッカー」はピックアップについてのお話でしたが、
今回はもっともっと細かいパーツのお話をしたいと思います。

前回の記事に登場して頂いた当店のお客様所有の
大野楽器オリジナルギター「ストラトポール」にどんなパーツ
を使用しているのか。。

正直音には関係の無い部分かもしれませんが、
ピックアップ交換などを経て理想のサウンドを手に入れたら、
お次はルックスでしょという具合です。


元々、「ストラトポール」のコンセプトは、

Fender 1961 Stratocasterと、Gibson 1956 LesPaulを掛け合わせるといったものでした。

参照http://macs-ohno.blogspot.jp/2015/08/blog-post_9.html 

今回このお客様はピックアップをミニハムバッカーに交換したので、
若干コンセプトを変更する事にしたんです。

いったい何の話だ?、と思われるかもしれませんが、
エレキギターは、各年代で仕様が少しづつ違っていて、
細かなパーツの変更点などが、その年代の外観上の特徴
になっていて、年代を見分けるポイントになっていたりするんです。


つまり、Gibson LesPaulの1956年モデルはP-90ピックアップですが、
ミニハムバッカーの設定は無く、ミニハムバッカー搭載のLesPaulと言えば、
1969年の「LesPaul Deluxe 」となる訳です。

という事で、このお客様の「ストラトポール」は
1961 Stratocasterと、1969 LesPaul Deluxe の掛け合わせというコンセプト
に切り替え、パーツ変更をしていきます。

まず、1969 LesPaul Deluxeのパーツ類の特徴を見てみましょう。

ミニハムバッカー搭載の
1969年
Gibson LesPaul Deluxe

特徴としては、当然ですが、ミニハムバッカー搭載。
P-90サイズのマウントリング(エスカッション)。

そして、「リフレクターノブ」と呼ばれるノブの上面に
「Volume」「TONE」と印刷されたメタルプレートが付いている
ノブが使用されています。
写真では解らないとは思いますが、1から10までの目盛りが
裏から彫ってあり、表側から見ると立体的に見えます。

そのノブの下には、「ポイントワッシャー」というノブの目盛り
に対して目印となるモノが付けられています。

その他にも弦が乗っているサドル部分がプラであったり、
ブリッジやテールピースの素材や、様々な特徴があるのですが、
「ストラトポール」に置き換えが可能なパーツとしては、
ノブ周りなのではないでしょうか?

↑1956LesPaul等に使われるベルノブ。
↑1969LesPaul Deluxe等に使われるリフレクターノブ


↑ポイントワッシャー



ストラトポール ミニハム
コレが「リフレクターノブ」です。
よく見かける「ベルノブ」とは全く違う雰囲気ですよね。
「ポイントワッシャー」も付けてみました。


いかがですか?、ノブ交換しても音には全く影響しません。。
一方、ポイントワッシャーは、音は変わりませんが、結構便利です。
ボリュームやトーンを調整しながら演奏するスタイルのプレーヤー
は一目でセッティングが解るので良いと思いますよ。

最近のレスポールや、その他のギターにも
ポイントワッシャーは使われなくなってしまいましたね。
ほとんど見かける事はありません。

まぁ、製作時に、0位置を気にしながらボリュームポットを取り付けるという
面倒な工程が増えてしまうので、省かれていったのでしょう。


でも、パーツとしてはまだまだ手に入りますので、(しかも結構安い)
皆さん是非お試し下さい。



そして実は、そのボリュームノブの上に写っているセレクタースイッチも
交換しているんです。
最近のレスポールやその他トグルスイッチを採用しているギターの
スイッチを固定しているナット部分はフラットな形状で、
ビンテージギターに使われているスイッチナットは、
表側からスイッチ本体を迎えに行く為、すり鉢形状になっています。
解りにくいうえ、気にしている方も少ないかもしれませんが、
こんな細かなパーツもビンテージから型を取った精巧なレプリカパーツ
が発売されていますので、あれこれ組み合わせて、楽しんでみてはいかがでしょうか?

リフレクターノブ スイッチリング
すり鉢状になっていますね。
ギザギザの角も少し取れたような雰囲気。

↑よく見かけるスイッチリング。




↑ビンテージなどに使われる
すり鉢状のナット。
ボディトップ材が厚い場合によく使われていた。



ストラトポール ミニハムバッカー
全体の完成写真です。
こだわり満載の1本が出来上がりましたね。
LesPaul Deluxeの雰囲気もよく出ていると思います。

こういった音に関係無いパーツは、
自己満足であることは間違いないですが、
その自己満足こそが、プレイをしている時の
気分の良さ、つまり気持ちの安定を生み、
良いプレイが出来て、
結果として良い音に繋がる事もあるのではないでしょうか?


せっかくのギターです。
弾き心地、サウンド、ルックス
全てに拘りましょうよ!









~お問い合わせ~
MACS大野楽器・南越谷店
埼玉県越谷市南越谷1-16-10
048-986-8686





2016年3月6日日曜日

ミニハムバッカー



皆様こんにちは。
今日はピックアップ乗せ替えのお話です。

近年では、昔に比べ新品時に載せてあるピックアップの質が上がり、
ピックアップの載せ替えを行うプレイヤーが減った気がします。

しかし、ピックアップの交換はピックアップのグレードを上げるという
意味以外にも、もっと大きな意味があると思うのです。

それは、木材などの持つ元々のサウンドの特性を、より自分の狙った
サウンドに近づけていく。

つまり、かなり極端に言えば、エフェクターの様な意味もあるという事です。


例えば、今回ご紹介させて頂くお客様の場合は、
大野楽器オリジナルギター 「ストラトポール」
つまり、マホガニーボディーにフロント・リア共にP-90スタイルの
セイモアダンカン製 SP90-1n/SP90-1bが搭載されていました。

ストラトポール P-90
元々の状態です。
フロント、リア共にP-90タイプですね。
ノーマルの「ストラトポール」です。


しかし、P-90スタイルのピックアップは、シングルコイルではありますが、
Fender系のシングルに比べかなり甘く、ミドルにかなり癖の強いピックアップ
なんです。そんな事から、よくシングルとハムの中間的なピックアップと
呼ばれていますが、ワタクシの個人的な感想としては、確かに中性的ではある
けれども、ややハム寄りのシングルコイルピックアップだと思います。

そんな訳で今回のお客様は、より自分好みのサウンドを狙い、
Fender系シングルコイルにも並ぶ様な高域の抜けを確保しつつ、
シングルコイルよりもパワー感があり、甘さも兼ね備えたピックアップ
を探す事になりました。



そこで思いついたのが、「ミニハムバッカー」です。
現在では新品時にミニハムバッカーが搭載されているギター
はほとんど無く、皆様のミニハムバッカーに対するイメージも、
単なるハムバッカーなんだけど、少しパワーもダウンし、
中途半端なピックアップといった感じではないでしょうか。。


しかし、それが、とんでもなく良いんです。
実は普通のハムバッカーとは全くの別物で、
高域の抜けはFender系シングルコイルに全く引けを取らず、
パワーの部分では、ちょうどシングルとハムの中間程度で
シングルコイルにありがちな細さも感じる事は無いので、
非常に扱いやすく、各弦の輪郭もクッキリ透明度の高いサウンド
です。

そして、これは個人的な好みなんですが、ルックスが最高です。
良い意味で違和感があるというか、、
古臭い感じというか、、
皆様はどんな印象でしょうか?写真を御覧下さい。

ストラトポール ミニハム
セイモアダンカン AQ-2MH-n、AQ-2MH-b
が搭載された「ストラトポール」

どうですか?カッコ良いですよね?
しかし、これがまた非常に大変だったんです。
ミニハムバッカーは搭載の仕方がかなり特殊で、

ザグリを深く掘り直したり、ワンオフでステーを製作したりして
何とか収まっているんです。

まぁ、もともとレスポール用ピックアップですからね。
すんなり載る訳は無いんですけどね。


60年代後期から70年代にかけての Gibson LesPaul Deluxeには
ほぼ無加工で載るでしょう。

現在P-90スタイルが搭載されているレスポールに関しては
ステーを作れば搭載可能です。

現在P-90スタイルが搭載されているFender系ボディのギター
には、搭載不可能な場合もかなりあります。
ご相談下さい。



かなりマニアックなお話でしたが、、、


皆様も、理想のサウンドを求めて、
ピックアップを交換してみてはいかがでしょうか?

もしかしたら、長年悩んでいた音作りの悩みが解決するかもしれませんよ!


このお客様のストラトポールですが、ルックスにも拘っており、
その辺りの細かなお話は次回にしたいと思います。



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