2018年1月25日木曜日

お気をつけください!



皆様こんにちは。
本日はリペア関連の内容ですが、近年急激に増えているトラブルに対しての注意喚起といった内容です。是非、皆様もご確認くださいね。

エレキギター、エレキベースのプレーヤーはほとんどの方がストラップをご使用されていると思います。そのストラップですが、昔から外れてしまうというトラブルも多く聞きますし、それに対する対策品なども売られていますよね。

今回はその対策品によるトラブルをご説明させて頂きます。


上の写真は、近年ストラップ脱落対策品で最も見かける様になった「ストラップラバー」という商品ですが、従来のストラップロックはギター本体側を多少弄る事になるものが多く、この「ストラップラバー」のお手軽さには正直目からウロコ的な驚きもありましたよね。

しかし、そんな楽器側の加工を必要としないお手軽「ストラップラバー」にも大きな弱点があります。

まず、下の図をご覧ください。


ストラップピンにストラップが掛かっているのを真横から見た図です。
通常はこの様にストラップピンに対してストラップの厚みが薄く、ピンはしっかりとボディに固定されたままでストラップのみが可動する状態ですよね。
まぁだからこそストラップの穴が広がり、ギターの落下につながるのですが・・・。


一方、「ストラップラバー」を装着した図が下です。
赤い部分がストラップラバーです。


ストラップのみの時と比べ、当たり前ですが、ピンの溝いっぱいいっぱいにハマっていますね。これがストラップを外れにくくしている仕組みなんですが、実はこれこそが大問題なんです。

「ストラップラバー」というネーミング通りこの商品は「ゴム」で出来ています。
「ゴム」は滑りにくい素材ですよね。
それが溝いっぱいにハマっているという事は、、、
ストラップピンとストラップ&ストラップラバーが完全一体化している状態となります。

すると、プレーヤーが体を動かした時に上の図の矢印の様にネジ本体を回し始めてしまうのです。

固い瓶の蓋を開ける時用の、ゴムで出来ていて、径を大きくするグッズがありますよね?
正にそれと同じ現象が起こっているのです。


ストラップピンを固定しているネジは、いわゆる木ネジを使っています。
この木ネジは見方を変えればドリル的な要素もありますよね。
そんなネジがグリグリ回されるとどうなるか・・・

当然ボディは木材なので、木が削れていきます。
最終的にはボディ側の穴が広がり、ネジごと抜けて結局ギターの落下事故に繋がります。

つまり、「ストラップピンからストラップは外れないけれど、ギターからストラップピン自体がストラップもろとも外れる」という本末転倒な結果となります。

ボディ側のネジ穴が広がりストラップピンが抜けるといった修理は結構多いのですが、
なかでもこの「ストラップラバー」利用者がダントツに多いです。

金額も安く、使い始めは何の問題も起きず、むしろ安心感すらあるので、利用者も多く、なかなか皆様にご理解頂けていないのですが、「ストラップラバー」は短期的な使用に留めて頂きたいです。

現在既にネジが緩んでいる場合は、すぐに修理に出しましょう。
当店の場合は、ネジ穴の中を奇麗にし、新たな木材で埋めて、新規のネジ穴を作り直すという修理をしております。



ストラップの脱落を完全に防ぐ方法は無いです。
落下防止グッズも使用するシーンや期間、そしてリスクを理解していれば、
大変便利に使える事もあると思います。。。が・・

やはり大事なのは・・

・穴の広がってしまった古いストラップは使わない。
・ネジが緩んでいないかを演奏前、演奏後にチェックする。
・ストラップを付けっぱなしにしない。(付け外し時に異変に気付く)
・落下防止グッズを過信しない。

等だと思います。



ギターの落下は最悪ネック折れなどやご自身の怪我などに繋がる恐れもありますので、
是非この機会に点検してみてくださいね。






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