皆様こんにちは。
先日アップしました
「工場へ行ってきました」の記事は長々とした文章にも関わらず、
多くの方に読んで頂けた様で嬉しく思います。ありがとうございました。
その記事の最後に、
「工場へ行った理由は見学だけではなく他にある」とお伝えしましたが、
その件についてご紹介させて頂こうと思います。
今回のブログはホントに長いですよ~(笑)
夏休みですし、お時間のある時にでも、ゆっくり読んで頂けると嬉しいです。
どうかお付き合い下さいませ。
まず、話が遡ること去年(2014年)の11月。
「2014楽器フェア」が開催されました。
そのおよそ半年前位にESP社の営業担当さんより、「2014楽器フェア」に展示する為の
新しいギターのアイデアがないかと相談を持ちかけられました。
実はワタクシ以前から造ってみたいギターがありまして、とても良い機会だったので、
そのアイデアをぶつけてみたのです。
その後、ESP社内での企画会議も通過し、
見事「2014楽器フェア」に出展され、
ESP展示ブースに掲げられました!
そのギターのコンセプトとは・・・・。
ワタクシの愛用するギター2種を掛け合わせる。というものでした。
その2種とは、「ストラトキャスター」と「レスポール」なんです。
まぁ無茶苦茶ですよね・・・。
分かってます・・・。
一応業界歴15年以上ですから・・・。
でもやってみたかったんです。
一応、話を解り易くする為に、元の楽器2種の写真を載せておきます。
Fender CustomShop 61’Stratocaster 3CS
Gibson Historic collection 1956LesPaul
以上がワタクシの愛用する2種なんですが、(けっこうベタですいません。)
このベタな、いや、有名な2機種を混ぜるなんて、本当に無茶苦茶ですね。
コダワリとしては、よくある「ただ単にストラトキャスターにギブソン系のピックアップを
載せただけ」みたいな物にはしたくない!というのがありました。
「ルックス、サウンド共に、中間を取る!」下手をすれば中途半端な使いどころの無い
楽器が出来上がってしまう恐れもありますが、何度も仕様書を書き直し、CGまで描き、
コツコツと準備を整えていきました。
楽器は出来上がってみないと解らない部分も多いのですが、ある程度予測をたてながら
各仕様を決定していきました。
当店は普段からフルオーダーのお客様も多いので、
そういったお客様のお相手をさせて頂いている経験がかなり生かされたと思います。
そこで、出来上がってきたショーモデルがこちら
いかがでしょう?
程よく気持ち悪い(笑)感じに仕上がってますよね!
でも、狙い通りです。
シルエットはストラトキャスターのままですが、
シルエット以外はほとんどレスポールから流用しました。
まず、ヘッド部の色に関しては、
通常のストラトキャスターはメイプルカラー(ナチュラル)か、ボディ同色です。
しかし、このモデルはレスポールにならって、ヘッドは「黒」。
そしてペグも通常ストラトキャスターはクルーソンの丸くて銀色のものが
付きますが、これまたレスポールにならって
「緑掛かったプラスチックの物」を採用。
これが意外と大変で、
通常レスポールはヘッドの左右に3対3で取り付けられているので、
片側6連のタイプでレスポール用のノブが付いているペグは
ほとんど見かけないので、わざわざ用意して貰いました。
そして、ストラトキャスターのネックには一部を除いてほとんど
採用されていないネックバインディング(縁取りの白いライン)も施し、
インレイ(ポジションマーク)も台形のレスポールの物を埋め込みました。
ボディにも通常のストラトキャスターには見られない
ボディバインディングを施し、レスポール感を増しています。
ピックガードにはレスポールの三角形のピックガードに使われる
クリーム色の1PLYの素材を使用し、製作しました。
ストラップピンにまでこだわって、
レスポール用のアルミ製の物をチョイスしてあります。
ピックアップセレクターにも、ストラトキャスターに使われる
レバータイプではなく、レスポール用のトグルスイッチを採用。
もちろんボリューム&トーンノブもレスポール用です。
そして、このギターの要とも言うべきピックアップはもちろん、
「P-90」です。
ちなみに、ブリッジは、アームを生かしてこそ2種を混ぜる意義がある
と考え、ストラトキャスター用のものをチョイスしました。
ジャックに関しても、CGではレスポール用の四角プレートも
描いてみたのですが、さすがにエグいので、
ストラトキャスター用の舟形ジャックプレートを採用しました。
(1ピースのボディがよく解る写真です。)
材質は、マホガニーボディにメイプルネック、ローズウッド指板という
まさに混ぜこぜ仕様なんです。
しかし、これも適当なんかではなく、
マホガニー1ピースのボディに
マホガニーネックだとどうしてもサウンドが丸過ぎるので、
メイプルネックを採用する事でバランスを取りました。
本来のレスポールはマホガニーボディーに
マホガニーネックですが、TOPにメイプル板を貼り、バランスをとっています。
それと似た効果を狙っているんです。
また、メイプルネックの方が強度的にも安心出来ます。
肝心のサウンドですが、
これが非常に良いです!
抱えている感触は完全にストラトなんですが、
ストラトに比べ、明らかに中低域が太く、甘さがあります。
ただモコモコする感じとは違ってハリのある中域が気持ち良い。
音の立ち上がりはレスポールに比べると思ったよりも早く、
メイプルネックが良い具合にまとめてくれています。
と、長々と解説してきましたが、このモデル名前が決まってなかったのです。
ESP社との打ち合わせでは便宜上「ストラトポール」と呼んでいました。
本当は、「レスキャスター」とかの方がカッコよい?とか・・
あるお客様からは、ギブソンとフェンダーなんだから「フェンソン」にしろなんて言われたり(笑)
また別のお客様には「ギブダー」にしろなどなど様々な意見が出ましたが、
打ち合わせで何度も「ストラトポール」と呼んでいるうちに愛着が湧いてしまったので、
そのまま「ストラトポール」で良いかなぁ・・と。
そんなこんなで我が「ストラトポール」が2014楽器フェアに展示され、当店のお客様からも
想像以上の反響を頂き、1本しかないショーモデルに対し、
「俺が買う!」 「いや俺だ!」 「いいから全員分造れ!」 などなど
もともとワタクシが買おうとしていた事なんて遠くに追いやられ・・・まさかこんなに皆さんが欲しがるなんて・・・・
とても有難い御言葉を戴き、当店オリジナルモデルとして販売出来る事になったのです。
と言葉で書くと簡単ですが、これにもまた紆余曲折あったわけで・・・。
普段からフルオーダーを受けているESP/Navigatorブランドとして
お客様からオーダーを受けるのなら何の問題もありません。
が、普段オーダーを受け付けていないEDWARDSブランドでのオーダーなので、
だいぶESPさんには無理をお願いしました。
そして、ようやく
大野楽器オリジナルギター
「ストラトポール」6本限定での発売に漕ぎ着け、
先日工場に進捗状況の確認に行って来たという訳でした。。。
ちゃんとお仕事してますよ、工場見学して遊んでいるわけではないですからね!!
塗装が終わり、組み込み前のボディです。
塗装の具合などを確認しておきます。
下地からオールラッカーなので、1本1本具合が違うのもまた醍醐味です。
ネックも確認。良い出来です。
仮にボディと合わせたりしてみます。
すぐ組み込んで、このまま持ち帰りたい!
が、そういう訳にもいきません。
これからギター造りで最も大事な組み込みが待っています。
ナットの成型、フレットのすり合わせ、ネックポケットの調整、
各パーツの取り付けなどなど。。
ここはしっかり時間を掛け、丁寧な作業が求められるんです。
皆様と同じ気持ちで楽しみに待ちます!
今月末の完成を予定しております。
オーダー頂いておりますお客様、
もうしばらくお待ち下さいませ。
また完成時にアップします。
~夏季休業のお知らせ~
誠に勝手ながら、
2015年8月10日から13日までの4日間を夏季休業とさせて頂きます。
※練習スタジオは営業しております。
~お問い合わせ~
MACS大野楽器・南越谷店
埼玉県越谷市南越谷1-16-10
048-986-8686