2018年4月13日金曜日

木目を生かす。



皆様こんにちは。
本日は当店で製作したワンオフパーツのご紹介です。

先日このブログでご紹介させていただきました
コアTOPのレスポールカスタムですが、
早くもオーナー様が決定し、納品前に調整&カスタムのご依頼がありました。

ブログでご紹介させて頂いた時にも書いているのですが、
個人的にはレスポールのピックガードはあった方が好きなんですが、
木目が奇麗な個体は木目が隠れてしまうのが勿体なく感じますよね?

今回のお客様も全く同じご意見をお持ちの方でしたので、
そのジレンマを解決すべく「ワンオフピックガード」の製作となりました。

通常では黒、もしくはアイボリーカラーの素材で作られるレスポール用ピックガードですが、今回使用した素材は、「アクリル」です。

アクリルは透明度が非常に高く、外周部も磨くとキラキラと光り、透明ながらも存在感はしっかりと出る今回の様なケースには打って付けの材料です。

納品予定も迫っていたので、やや急ぎでの製作だったので途中の写真はありません。。

ということで、いきなりですが、完成写真をご覧ください。


レスポール アクリルピックガード ワンオフ 製作

やや厚めの3mm厚のアクリルで製作しました。
外周は斜めにカットしつつもややラウンドさせて、滑らかさを出しました。
アクリルはただカットしただけだと切り口が白くなり、摺りガラスの様になってしまいます。それをひたすら磨き、クリスタルの様な輝きを引き出していきます。

いかがでしょう?
これなら、美しい木目を覆い隠す事無くピックガードを取り付ける事が出来ますね。
ちょっと弾くのが勿体ない気もしますが・・・。
でも、アクリルは通常のピックガード素材に比べ、傷にもなかなか強い素材です。


こういった改造は賛否はあるとは思いますが、
「ルックス」「サウンド」「弾きやすさ」がオーナー様自身の理想に合致していれば、
「アリ」だと思いますし、より一層の「愛着」が湧きますよね。
90年代に比べると「改造」する方は減っていて、ビンテージブームもあったおかげで、純正のまま使用する方が非常に多く感じます。

あまり枠に囚われず、自由な発想で「ギターいじり」をするのも楽しいですよ。
そういった方もバックアップさせて頂きますので、是非お気軽にご相談下さいませ。





~お問い合わせ~
MACS大野楽器・南越谷店
埼玉県越谷市南越谷1-16-10
048-986-8686




2018年4月10日火曜日

よくある質問。




皆様こんにちは。

本日は「よくある質問」というタイトルですが、
店頭でお客様から聞かれる事の多い、
「エフェクターのトゥルーバイパスってどうなの?」
「バッファードって駄目なの?」
といったなかなか説明の難しい問題に答えていこうと思います。

まず、多くの皆様が持っているイメージとして、
「トゥルーバイパスは高級機種に使われていたりするので、劣化しないんでしょ。」
というもの。「トゥルーバイパス」という言葉のイメージから、余計にそう思われる方が多いと思いますが、、、
残念ながらこれは「間違った認識」です。



どういう事かを説明する前に、理解しておかなければいけないのが、
「インピーダンス」についてです。

もうこういった専門用語が出てくると蕁麻疹が出るという方もいらっしゃるとは思いますが、なるべく簡単に、かつイメージしやすくするつもりなので、出来れば頑張って付いて来てください。
その分、専門的な知識としてはややずれた表現もあるかとは思いますので、電気的な専門知識を持つ方は暖かい目で見てやって下さいね。


インピーダンスには、「ハイインピーダンス」と「ローインピーダンス」があります。
簡単に言うと、
電池や回路の入っていない楽器(ストラト、レスポール、ジャズベース)などが、
「ハイインピーダンス出力」です。これをパッシブタイプと呼びます。
対して、
電池や回路のはいっている楽器(スティングレイ、EMG搭載楽器)などが、
「ローインピーダンス出力」です。これをアクティブタイプと呼びます。


ここで、ご自身の楽器がアクティブタイプだという方は、トゥルーバイパスエフェクターでも、バッファードエフェクターでもどちらでもサウンドがお気に召したものをお使い頂いて構いません。
※エフェクターを常時ONにするという方もアクティブ扱いとなるのでどちらでもお好きな物をお使いください。

しかし、近年では、特にギターは、パッシブタイプをお使いの方が圧倒的に多いと思います。このパッシブタイプをお使いの方こそ、「トゥルーバイパスVSバッファード」という問題にしっかり向き合う必要があります。


あくまでイメージとしてですが・・・。

まず、「向かい風の吹くトンネル」を頭にイメージして下さい。

そこに「ハイインピー君」が両手に傘を広げトンネルを進んでいます。
当たり前ですが、前に進むのが辛そうですよね。
トンネルの終点に辿り着くころにはヘトヘトになる事でしょう。

一方、「ローインピー君」は、傘を閉じ、体を小さく縮め、トンネルを進んでいます。
もちろん多少の疲れはあると思いますが、「ハイインピー君」に比べ随分と楽そうですよね。

つまり、多くのギターやベース(パッシブタイプ)は非常に疲れやすい信号で出力されているという事なんです。
疲れやすい=劣化し易いという事です。

そこで、劣化し易いハイインピーダンスをローインピーダンスに変換すれば良いと考えますよね。

そこで、有効なのが、エフェクターの存在なのですが、
バッファードエフェクターはONでもOFFでも通した時点でローインピーダンス化されます。
一方、トゥルーバイパスはON時には変換出来ますが、OFFにしてしまうとインピーダンス変換出来ませんのでハイインピーダンスのままとなってしまいます。

となると、「バッファード最強」となるハズですよね。
しかし、世間ではバッファードよりもトゥルーバイパスの方が良いと言われる。
どういうことなんでしょうか?

それは、バッファードエフェクターを通りインピーダンス変換が行われると同時に音質も変化してしまうからです。多くは「ギラギラする」「ローが削られた」「音が細く感じる」等々の意見が多いです。

もちろんワタクシも感じています。

しかし、トゥルーバイパスはどうかというと、
やはりハイインピーダンス特有の劣化をかなり感じます。
具体的には「抜けが悪い」「ハイが削られモコモコする」「立ち上がりが遅い」
といった症状です。


これを体感する事は簡単で、誰でも出来ます。是非お試し下さい。
①ギター→シールド→アンプ で音を出します。
②ギター→シールド→バッファード(BOSS)→シールド→アンプで音を出します。
③ギター→シールド→トゥルーバイパス→シールド→アンプで音を出します。
※この時各エフェクターはOFFにしておいて下さい。

当たり前ですが、①が最も自然なサウンドですよね。
それに比べたら③はかなりモコモコするはずですし、かといって②は不自然に元気良すぎというか・・・・。


なぜこのような結果となるのか。

多くのバッファードエフェクターはエフェクトON時のサウンドを優先させた設計なので、OFFの時の音質変化防止にコストをかけていなかったりするので、どうしてもサウンドが不自然になりがちです。
一方トゥルーバイパスは、その対策として出てきた手法なので、OFF時には全く回路を通りません。しかしこれも完全な対策とは言えず、回路を通らない為、インピーダンス変換されないので、劣化が生まれてしまいます、ハイの成分減退が特に顕著です。
というのも、トゥルーバイパスとはいえ、疲れやすいハイインピー君が
ジャック、細い内部配線、スイッチ、細い内部配線、ジャックという順で信号が通るのです。


まとめると、
●バッファード
音質劣化は少ないが音質が変化する。ノイズが乗りにくい。
ON/OFFの切り替え時のブツッというノイズが無い。
エフェクターを沢山繋いでも劣化しにくい。
●トゥルーバイパス
音質の方向性がガラッと変わる事は無いが、明らかに劣化する。
ON/OFFの切り替え時にブツッもしくはボンッというノイズが起こる。
エフェクターの台数が増える毎に劣化が酷くなる。

「音質変化」と「音質劣化」この言葉のニュアンスに着眼して頂くとより理解が深まると思います。



バッファードとトゥルーバイパスそれぞれの仕組みも含め、解り易い図にまとめたので、
参考にしてみて下さい。



以上の点を踏まえた上でワタクシが思う理想形は、
OFF時の音質変化にもきちんと向き合いコストを掛けたバッファーを搭載したバッファードエフェクターを一台持っていて、そこでしっかりとローインピーダンス変換してあげた
上で、その後ろにトゥルーバイパスのエフェクターを繋ぐ。


逆に、言葉に踊らされ、トゥルーバイパスを何台も繋いでいる状態は最もギター本来の音から遠ざかっていると感じます。
「トゥルーバイパス」決して都合の良い魔法ではありませんので、使い方を誤らない様にご注意下さい。


大変な長文にお付き合い頂き有難う御座いました。
ギタリスト、ベーシストにとって「解り易く」を第一として書かせて頂きましたので、やや極端な表現等もありますが、ご了承下さい。



もし、よく解らない、うまく体感出来ないという方が居ましたら、是非ご来店下さい。
店頭で体感出来る様に、全く同じエフェクターでトゥルーバイパス仕様とバッファード仕様の2種を用意してありますので、聞き比べ出来ますので!




~お問い合わせ~
MACS大野楽器・南越谷店
埼玉県越谷市南越谷1-16-10
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2018年4月8日日曜日

レアなレスポールカスタム。



皆様こんにちは。
本日は非常にレアな1本が入荷致しましたので、ご紹介させて頂きます。

「レスポール・カスタム」と言えば、「黒」、もしくは「白」ですよね。
今回ご紹介させて頂くモデルは、そのどちらでもなく、
大変貴重な素材を贅沢に使用したモデルなんです。


まずは写真をご覧頂きましょう。

Gibson Les Paul Custom Koa Top Natural

そうです。TOP材に、トーンウッドの中でも人気、評価共に非常に高い「カーブドフィギュアドコア」を採用しています。
コア材は、明るくカラッとしたやや硬めのサウンドが特徴なので、ボディーバックのふくよかなサウンドが特徴であるマホガニー材との相性が非常に良いです。
サウンドの太さ、温かみをマホガニーで生み出し、コア材でサウンドの輪郭を整えるといったイメージです。


Gibson Les Paul Custom Koa Top Natural

コア材の持つ自然な色合いを生かしたナチュラルカラー。
木目も同モデルの中でも大変バランスが良く、非常に美しい。
色気のあるアーチトップ形状。
気品すら感じますね。


Gibson Les Paul Custom Koa Top Natural

ボディーバックは1ピースのマホガニーです。
カスタムなのでバック側にもバインディングが施されています。
サウンド、ルックス両面で、トップのコア材を引き立てる名脇役といった感じでしょうか。
重量もさほど重たくは無く、良質な材質をチョイスするカスタムショップならではと言えます。


Gibson Les Paul Custom Koa Top Natural

ヘッド裏のグリップ寄りにさりげなく入れられたGibson Customのロゴ。
一目見ればレアで特別な1本であることが認識できるモデルなので、この位のさりげないロゴで十分と思わせられる。

それにしてもこのカットからでも良質なマホガニーである事がお解り頂けると思います。


Gibson Les Paul Custom Koa Top Natural


ヘッドはまさに王道のレスポールカスタムのデザインそのままです。
このダイアモンドインレイに憧れを持っている方も多いのでは。



Gibson Les Paul Custom Koa Top Natural

個人的にはレスポールはピックガードが付いていた方が好きなので、少し寂しい感じもしますが、この美しい木目を隠してしまうのももったいないし、悩むところですね。
一応付属品として、黒白黒白黒の4プライのピックガードが付いてきますが・・・
もし付けるなら、透明アクリル素材でワンオフ製作というのも面白いかと思います。





こういったレアなモデルは入荷するとすぐにお嫁に行ってしまうので、ご覧になりたい方はお早めにご来店下さいませ。






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2018年4月2日月曜日

ちょっとした事ですが。。




皆様こんにちは。
4月に入り、本当に暖かくなりましたね。
寒い時期は「乾燥」に注意しなくてはなりませんでしたが、
これからは、「湿気」への注意が必要ですね。

春~夏は木部が割れる様な重篤なトラブルはほとんど起こりませんが、
最も多くなるトラブルは、「ガリ」と呼ばれる接点不良です。
接点不良の多くは「錆び」が原因です。(配線不良等は別ですが)

この「錆び」はある程度の湿度を超えると進行しやすくなります。
つまり、冬よりも夏の方が圧倒的にリスクが高いのです。

接点不良の例としては、
「ジャック部分を触ると音が出たり、出なかったりする。」
といった事が多いと思います。

もちろん、パーツ交換をすればきちんと直ります。

しかし、少しでも長持ちさせたいですよね。

特別な事ではなく、誰でも出来る「ちょっとした事」ですが、
まず、「ケースに入れっぱなしにしない。」という事です。
ケースには皆様が思っている以上に湿気が溜まっています。
大事にしたい人ほどケースにしまっていると思いますが、
むしろ逆効果です。接点どころか、ビス、金属パーツがかなり錆びます。
ライブや練習から帰ってきたら、とにかくケースから出して、スタンドに立てて下さい。


次に、ボリュームなどの「ガリ」を最小限に留めるちょっとした工夫として、
「保管時はツマミを0にしておく」です。


ポットをバラすと上の写真の様になっています。
この黒い部分が抵抗となっており、そこをスキーの板の様な接点が滑る事で
可変抵抗となり、ボリューム等を上げ下げするという仕組みです。

接点部分の写真ですが、見えますでしょうか?

この接点が0以外の中途半端な場所で止められたまま保管され、ほこりや錆び、又はカーボン素材の可変抵抗部にキズが入るとその場所を通る度にガリが出る様になってしまうのです。
という理由から、保管時は0をオススメします。




ここからはオマケですが、よくあるご相談で、
「トグルSWがダメで交換したんだけど、またすぐに調子悪くなってしまった」
という内容です。
要するにトグルスイッチを操作してもピックアップがうまく切り替わらないという症状ですね。
まぁこれも色々な理由が考えられるのですが、、
とりあえず皆様が簡単に出来る予防策としては、
「保管時にはセンター位置」にして下さい。


ちょっと見えにくいかもしれませんが、中立の位置なので、両側の接点がくっついていますよね。


一方、どちらかをセレクトした状態では、通電しない方の接点がレバーに押され、
接点から切り離されているのがお解り頂けると思います。


接点部分をバラすと、こんな薄い金属板なんです。
この薄板が戻ろうとする反発力を利用し、切り替えが行われています。
つまり、保管時にどちらかをセレクトしたままにしてしまうと、「癖」がついてしまい、
センターに戻しても接点に触れなくなってしまい、片方のピックアップから出力されなかったり、最悪どちらの接点にも触れず、音が全く出なくなったりします。



まとめると、、、
ジャック等の接点を錆びから守る為に「ケースから出して保管する」
ボリュームのガリを最小限にする為に「保管時は0位置にする」
トグルスイッチの切り替え不良を減らす為に「保管時はセンター(中立)にする」

といった「ちょっとした事」でパーツ交換のサイクルを伸ばせます。
既にやっているという方は良いとして、これからの方々は、最初は面倒だと思いますが、
癖にしてしまえば何てことありません。是非お試しください。


もちろんそれでもトラブルが出てしまった場合は修理致しますので、
ご相談下さい。




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